研究内容

H26 原子力システム安全工学研究室 研究紹介 (PDFファイル)

高性能蒸気インジェクターによる静的炉心注水系の研究

蒸気をエネルギー源に水との直接接触凝縮を作動原理とし,供給部よりも高い圧力での水が排出可能な蒸気インジェクターは,電源が無くても作動するシンプルな静的(Passive)蒸気駆動ジェットポンプです.蒸気インジェクター内部では,超音速蒸気と水噴流の接触による複雑な気液二相流現象が存在します.本研究室では,熱水力学的な課題を明らかにするため,蒸気インジェクターの安定作動や,非凝縮性ガス混入時の挙動に関わるデータを取得するとともに,熱水力計算コードを用いた解析を通して最適化検討を行っています.特に,広域の圧力範囲において安定に作動する形状とシステム,熱流動作動条件を解明し,全電源喪失時に対応可能な静的注水設備や,非常用復水器システム熱交換器としての取り込みを目指します.

page2-img01

中心水噴流型蒸気インジェクター

気液二相流の微細構造測定法の開発及び限界熱流束の飛躍的促進法の研究

原子炉の安全性と密接に関連する限界熱流束発生機構に代表される,沸騰を伴う気液二相流の伝熱機構を明らかにするためには,沸騰面ごく近傍の気液構造を知る必要があります.本研究室では,微細導電プローブ,高精度静電容量プローブ,微細熱電対プローブなどのマイクロセンサを開発して,測定を行っています.下図は,導電プローブの測定で得られた沸騰面と気泡の間に残る液膜の3次元分布です.このように厚さ数10μmの液膜の挙動やその中の温度分布などを非常に高精度で測定しています.なお,これまでに同研究に従事した学生は,文部科学大臣表彰若手科学者賞,伝熱学会奨励賞,原子力学会熱流動部会賞,機械学会フェロー賞などを受賞しています.
また沸騰冷却は高熱流束を除去するための冷却方法として最も有望ですが,沸騰には限界熱流束と呼ばれる除熱限界が存在します.本研究では限界熱流束を飛躍的に増大させる有効な方法を見出す研究を行っています.現在まで,水に微量のアルコールやナノ粒子を添加させることで、気液二相流のミクロ構造が大きく変化し,限界熱流束が大きく促進されることが分かりました.これからは,先に述べたマイクロセンサや可視化技術を用いて,限界熱流束が促進されるメカニズムの解明と,さらに大きな促進効果を得る方法を探究していきます.

page2-img02

微細導電プローブ(先端径5μm)

page2-img03

マイクロセンサで測定した気泡
底部に形成される液膜厚さ分布

Super Safe Reactor Design & Safety Analysis

(超安全炉の開発設計と安全解析)

  • Fail-Safe Rectorのリスク評価と安全解析評価
  • システム/機械安全理論に基づく原子力安全概念の再評価
  • Fluoride-Salt の配管内固液状態変化にともなう流力特性変化
  • システム設計とSB(全電源喪失)時リスク/Fail-Safe成立性評価
  • Passive冷却機器(IC等)の安全解析評価, 次世代炉用高度化設計
  • 次世代に耐える安全理論の次世代炉への適用評価

page2-img04page2-img05

溶融塩を用いた超安全炉の概念図

Transient Analysis & Safety System Design

(過渡/動特性解析とシステム安全設計研究)

  • LWR異常/事故事象再現解析の精度予測向上による安全裕度評価によるプラント改良設計への反映
  • 運転データの定量的把握によるLWR運転操作上の安全維持最適化
  • RETRAN-3D.MOD4コードによる実稼働原子力発所挙動解析
  • 炉心及びBOP事故状況のシミュレーションとパラメータ解析評価

page2-img06

ABWRシステム構成

Severe Accident / PRA Analysis

(過酷事故/確率論的安全解析研究)

東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故により,自然災害に対する原子力発電システムの安全対策不足が浮き彫りとなりました.原子炉の安全性を確保するには,津波による炉心損傷のリスクを洗い出す必要があります.各安全システムが機能喪失リスクをどれくらい持ち,深層防護や多重性の穴があるかを確率論的リスク評価(PRA)を用いて評価検討し,津波へのリスク低減を目指します.

FP Cesium Diffusion & Migration

(放射性セシウム移動拡散に関する研究)

放射性物質が地表面に落下する際,乾性沈着と湿性沈着の過程が挙げられます.福島第一原子力発電所事故後,高い汚染が見られる地域の多くは湿性沈着により放射性物質が落下した地域です.しなしながら既存の湿性沈着モデルは雨を主として開発されたモデルであり,北国における雪やあられには最適化されていないのが現状です.湿性沈着機構のモデルを最適化し,放射性物質拡散予測を北国においても適切な評価をすることを本研究では目指します.

page2-img07

TOPへ戻る